中医学(漢方)ではイライラの原因を2つに分けて考えます。「心火(しんか)」は自分の欲求が満たされないことで起こるイライラ、「肝火(かんか)」は人間関係や追い込まれてのプレッシャーなど精神的なストレスに拠るものです。見分けるは難しいですが、焦りや不安など胸のあたりで感じるのは「心火」で、怒りなど頭にカーッと血が上がるのは「肝火」と思われます。イライラが慢性化すると身体に余分なものが溜まりやすくなり、それが徐々に熱を帯びてくると考えられています。
イライラを溜めないようにするには、気を紛らわすことが大切です。心理学者のガイ・ヴィンチは心の応急手当として、「嫌なことがあったら2分間は違うことをする・考える」という方法を提唱しています。嫌なことをずっと考え続けていると、ますます嫌な気持ちが増幅します。別の方向に気を逸らす工夫をしてみましょう。
そんな時に「ツボ刺激」をしたい場合は、「神門(しんもん)」というツボを押すことがお勧めです。手首の横じわの小指側、少しくぼんだ場所にあるのが「神門」のツボです。五臓の「心(しん)」を整え、ストレスを和らげると言われています。

イライラを解消する食養生
☆急性のイライラにはグレープフルーツ☆
思わずカーッとなったり、イライラした時は、急激に上がった熱を冷ます必要はあります。エネルギーの巡りは「肝(かん)」がコントロールしているため、肝の熱を冷ます食材を摂りましょう。手軽でお勧めなものはグレープフルーツジュースです。酸っぱいもの(酸味)は肝に良いので積極的に摂りましょう。
☆あさりを食べる☆
身体の潤いが不足すると、熱のコントロールが出来なくなり、イライラの原因になることがあります。さらにイライラに加えて、のぼせやほてり、寝汗などの症状がある時は、潤いを補う食材を摂るようにしましょう。あさりは身体を潤すと共に、精神を落ち着けてくれるのでお勧めです。みそ汁などに具材として入れると良いでしょう。
★注意:お酒や甘い物は控えましょう★
お酒や甘いもの、味の濃いものばかり食べていると、身体に痰熱(たんねつ)が溜まってしまいます。この熱がイライラの原因になってしまうので、これらの食材はほどほどにしましょう。よくお酒の付け合わせに付いてくる大根やとうがん、海藻などの熱をとる食材は積極的に食べるようにしたいところです。

イライラした時の漢方薬
イライラした時によく用いられる漢方薬として、抑肝散(よくかんさん)、抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)、加味逍遥散(かみしょうようさん)…等々が挙げられます。漢方薬は、患者様それぞれの身体の状態やイライラの原因に合わせた処方がされますので(=同病異治)、医師や薬剤師といった専門家に相談されて下さい。
因みに、赤ちゃんの夜泣き(疳の虫)に悩まされている母親の方に、よく抑肝散などが処方されることがあります。これは赤ちゃんの夜泣きにイライラしてしてしまうお母様ご自身に効くだけでなく、その漢方薬を飲まれたお母様の母乳にその成分が含まれ、それを飲んだ赤ちゃんの疳の虫が収まる…ということがよくあります。赤ちゃんの夜泣きに悩まされてしまうのも一つの精神的なストレスですので、そのような方もぜひご相談下さい。

当院では、自律神経失調症をはじめ、
不安症、うつ病、躁うつ病、適応障害、
パニック症、睡眠障害(不眠症)、摂食障害(過食症)
月経前症候群(PMS)、統合失調症、強迫性障害、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、
過敏性腸症候群、更年期障害、心身症など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
なお、自律神経失調症の漢方薬による治療をご希望の患者様は、
診察時に医師の方にぜひご相談下さい。
当院のような心療内科では健康保険適用で処方することも可能です 。
監修者:
新宿ペリカンこころクリニック
院長 佐々木 裕人
資格等:精神保健指定医、精神科指導医・専門医
所属学会:日本精神神経学会
参考引用文献:
櫻井大典監著『理由が分かればもっと整う!漢方生活を楽しむ教科書』


