フラッシュバックとは
フラッシュバックとは、過去の体験が今この瞬間に起きているかのように感じる体験です。例えば、突然つらい体験シーンがパッと出てきたり、何故か身体が緊張したり、急に強烈な感情が出てきたりします。自分でコントロールできない感じに戸惑ったり、周りが理解してくれないことに怒りや孤独感を感じたりしやすい体験です。こうしたフラッシュバックは「心の弱さ」などと思われがちですが、実は身を守るための生理学的な反応なのです。
強いストレスやトラウマに直面すると、身を守るために自動的な身体の変化が起こります。身体にギュッと力が入る、または正反対に、虚脱して動けなくなる、無感覚になる…等があります。専門的には、闘争・逃走・凍結反応(=3F反応)と呼ばれるものです。通常はそのような反応が起きても、安全な状況が戻ると、それが解除されます。けれども、フラッシュバックの場合、安全な状況であってもその反応がしばらく解除されないことがあります。そんな時に使える対処法があるので、ご紹介します。
対処の仕組みとポイント
フラッシュバックの中核は「過去」の「記憶」に意識が引き戻され、その過去の体験がまた起きているかのように感じられることです。そのため、対処法では正反対のことをします。つまり、「今」の物理的な「現実」に意識を戻します。それには五感や身体の動きを使い、今いる場所・時間などをしっかりと感じることが役立ちます。
ここで大切なポイントをお伝えします。それは、嫌な気持ちを一気になくすことを目指すのではなく、「ちょっとまし」になることを目指しながら、対処法を繰り返し使うことです。塵も積もれば山となるというように、「ちょっとまし」も繰り返すと、「だいぶまし」になります。
フラッシュバック対処法
➊ まずは「視覚」を使う方法を紹介します。目に見える色の名前を言います。簡単に言えるようであれば、色と一緒に物の名前を言うのも効果的です。例えば「水色のスマホケース、白いマグカップ」などです。言う色がなくなるまで続けてみましょう。
➋ 次の方法は「嗅覚」を使います。香りのするものを見つけて下さい。食べ物や飲み物は勿論のこと、自分の服や髪、そして普段はにおいをかぐことのない文房具などでも構いません。自分にとって心地よく感じる香りを見つけ、その香りをゆっくりと感じてみましょう。
❸ 今度は「身体」を使ってみましょう。壁をゆっくり強く押します。腕で押しても、背中で押しても構いません。壁を使えない時は、机の上に腕を置いてゆっくり下に押す、または座っている椅子の座面を手で引き上げるなども試してみて下さい。腹筋、背筋、太ももなどの大きな筋肉をしっかりと使うと効果的です。
……ここでは、皆様が取り組みやすく、かつ、代表的なものをご紹介させて頂きましたが、対処法は他にも多くあります。誰にでも必ず効く方法はないので、「今」の物理的な「現実」をしっかり感じることを基本として、あなたに合うオリジナル対処法を見つけてみて下さい。呼吸や身体が「ちょっとまし」になったら、それがあなたに合った対処法です。そして練習を重ねることで効果も出やすくなります。

当院では、適応障害をはじめ、
うつ病、躁うつ病、不安症、自律神経失調症、
睡眠障害(不眠症)、パニック症、強迫症、
月経前症候群(PMS)、統合失調症、摂食障害、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、
過敏性腸症候群、更年期障害、心身症など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
監修者:
新宿ペリカンこころクリニック
院長 佐々木 裕人
資格等:精神保健指定医、精神科指導医・専門医
所属学会:日本精神神経学会
参考引用文献:『心理臨床の広場 No.37』


