同じADHDであっても、人の気持ちや状況に深く寄り添いやすい、共感性の高いタイプの人もいれば、感情の機敏に気付きにくく、他者の感情に影響されにくい、共感性の低いタイプの人もいます。共感性の高い方は心理学的概念のHSP(Highly Sensitive Person:高感受性の人)が強めで、低い方はASD(自閉スペクトラム症)が強めな人だと言われています。割合的にどちらが多いかは分かりませんが、臨床現場の感覚としては半々くらいなイメージであるように感じられます。
「共感性が高いから良い」とか「低いから悪い」といった単純な区別はできませんが、共感性が高すぎると、相手の感情を深く汲み取り過ぎてしまい、時として自分まで疲れてしまいます。逆に、低すぎると、相手の気持ちを想像するのが難しくなり、その場の空気(雰囲気)に合わせにくいと感じることがあるかもしれません。
実際に臨床の現場へ相談にいらっしゃられる方の中には、共感性の低さで悩まれているという方が非常に多いのも事実です。例えば、「寄り添って欲しいと思っている人に共感してあげられず、上手く寄り添えなくて、冷たい人だと思われてしまう」といった類の相談です。このようにコミュニケーションにおいて、特に共感性の低い方は、冷たい人、嫌な人だと誤解されやすいかもしれません(本当はそうではないのですが…)。
このような人は、何に対しても共感ができないわけではなく、自分が実際に経験して理解してることに関しては共感できるのです。ただ、相手の立場に立って物事を考えることが難しいため、自分が経験したことのない出来事に関しては、理解が難しいのかもしれません。
基本的に、共感性の低い方は、自分自身も他者に共感して欲しいという欲求が余りないと仰られる方も多いですが、案外そうではないことも少なくなかったりもします。
共感性が高い人も低い人も、人間関係の悩みが絶えず、生きづらさ繋がることは少なくありません。ただ、少し視点を変えてみると、それは弱点ではなく長所にもなり得ます。例えば、共感性の高い人は、人の気持ちに寄り添いやすいので、自然と優しく振舞うことが出来ます。反対に、共感性が低い人は、他人の意見に流されず、自分の信念を貫く強さを持ちやすいとも言えます。その結果として、独自の世界観を発揮出来ることも少なくありません。
共感性に関しては、生まれ持った気質に近いものがあります。よって、根本から変えるのは非常に難しいので、マイナス面ばかりを気にして対処するのではなく、プラスの面に目を向けて見られることをお勧めします。その特性を活かすことで、今よりもきっと生きやすくなるはずです。
……とは言え、共感性が余り強くない人の中にも、「それでも大切な相手に寄り添いたい」と願う方がいます。そういう方は、あらかじめ「寄り添う言葉」を幾つか用意しておくことをお勧めします。
例えば、相手が悩んでいたり落ち込んでいたりする時に「大変だったね」とひとこと伝えるだけでも十分なのです。その言葉があるだけで、相手は気持ちを受け止めてもらったと感じ、安心しやすくなります。大切なのは「相手を思いやりたい」という気持ちであり、その気持ちを込めて言葉にするだけでも十分に伝わるはずです。
逆に共感性が高すぎて困っているという方は、相手の悩みがまるで自分の悩みのように感じるくらい、相手の心に深入りしてしまっているケースが多いです。そうなると、自分自身が疲れてしまうので、相手との“境界線”を引くことが大事になってきます。
人を思いやったり、寄り添ったりすることは確かに大変です。但し、「あの人は大変そうだから、自分が何とかしてあげなければ!」と過度に背負い込む必要はありません。本当に必要なのは、相手が望んでいることにだけ、そっと応えることです。分からなければ、気にかけているということを言葉にして伝えるだけでも十分だと思いますよ。

当院では、
睡眠障害(不眠症)、不安症、うつ病、躁うつ病、適応障害、
強迫症、摂食障害、月経前症候群(PMS)、統合失調症、
過敏性腸症候群、自律神経失調症、心身症、パニック症など、
皆様の抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
当院では、ご希望の患者様に、ウェクスラー成人知能検査(WAIS)を施行することが可能な医療機関となっております。
ご自身の能力の凸凹の可能性が気になられる患者様、とりわけ発達障害(ADHDやASD)の可能性を危惧されている患者様は、御診察の際に、その旨を当院医師にお申し出頂けましたら幸いです。
監修者:
新宿ペリカンこころクリニック
院長 佐々木 裕人
資格等:精神保健指定医、精神科指導医・専門医
所属学会:日本精神神経学会
参考引用文献:『「普通」ができないADHD脳のトリセツ』


