布団や室温といった睡眠環境や、寝る前のほんの小さな生活習慣が“眠りの質”に大きく影響するものです。特に暑さが厳しくなる季節は、睡眠の質を左右する自律神経が乱れがちです。安眠できる環境を作ると同時に、日々の生活習慣や簡単なセルフケアで、自律神経を整えることが大事です。今日できることから少しずつ始めましょう。
1.「冷房を前提に長ズボンで冷えを防ぎましょう」
冷房は身体がだるくなるから苦手、という声もありますが、その原因は「冷え」です。下半身が冷えて血行が悪くなると、寝返りなどの刺激で足がつってしまうこともあります。パジャマは夏も長ズボンを選び、露出を少なくして筋肉を冷やさない工夫が必要です。夏は寝る時に半袖・半ズボンという方もいらっしゃるかと思いますが、実は身体には良くなのです。
2.「熱帯夜は朝までエアコンをつけっぱなしで正解です」
近年の暑さは昔とは比べものになりません。エアコンが切れた途端に日中壁や屋根にこもった熱で室温が上がり、眠りの質を下げます。25℃~28℃を目安にエアコンはつけっぱなしにして寒く感じるようなら、寝具やパジャマで調節をしましょう。タイマーを利用する必要はありません。
3.「夏は涼しい敷きパッドで体感温度を下げましょう」
快眠の一番のポイントは「背中」です。寝具が背中に密着すると、エアコンをつけていても蒸し暑さを感じます。夏は、通気性が良く、体との間に隙間ができるやや硬めの素材のパッドや麻のシーツで、熱と湿気を逃しましょう。季節によって、ベッドパッドやシールを変えていくことが、快眠のポイントです。
4.「遮光2~3級のカーテンがベスト。あえて2~3cm開けておく」
寝室が暗い方が眠りは深くなるので、遮光カーテンはお勧めです。しかし、光を完全に遮ると、脳が朝日を感じられず、朝目覚めにくくなってしまいます。そういった場合には、敢えて遮光性が低いものを選んだり、朝日が少し入るように、2~3cm開けておくとよいでしょう。
5.「足元が冷えるなら、靴下より、腹巻きかレッグウォーマーを」
夏でも手足が冷えがちな方は少なくありません。そんな時は、腹巻きでお腹を温めましょう。内臓が温まると血行が良くなり、冷えにくくなります。足元を温めるなら、靴下よりも足先からの放熱を防がないレッグウォーマーがお勧めです。
6.「敷布団は3~5年、マットレスは7~8年で買い替えましょう」
お尻が当たる真ん中部分がへたると、腰が沈み込み、理想の寝姿勢を保てなくなります。手で触ってへこんでいたら、買い替えるか、タオルなどで埋めましょう。湿っていると劣化しやすいので、定期的に風に当てるのがお勧めです。
7.「自分の身体に合う寝具を上手に選びましょう」
敷布団やマットレスが柔らか過ぎると、お尻が沈んでしまいますが、硬すぎると腰が浮いてしまい、これも身体に負担を掛けてしまいます。基本は、仰向けに寝た時に横から見て、立っている時と同じ姿勢を保てることです。
枕も同様です。頭・首と敷布団の隙間の隙間をちょうどよく埋めて、まっすぐ上を向ける高さが理想です。横向きになった時に、肩の圧迫感がないものを選びましょう。
他にも、触り心地が好みでリラックスできること、清潔を保ちやすいことも大切です。
8.「0円で出来る簡易抱き枕が入眠をサポート」
人によっては、横向きに寝て抱き枕を抱えると、体圧が分散されてリラックスし、眠りやすくなる方もいます。その上、布団との間に隙間が出来て通気性が良くなるので、夏の睡眠改善にはお勧めです。使っていないベッドパッドがあれば、丸めてゴムバンドで固定して、簡易抱き枕が作れます。
9.「睡眠前後の換気&空気清浄機で睡眠の質がアップ」
寝室は、寝具や衣類からの綿ぼこりが出ている上、外気の汚れも溜まりがちです。空気の汚れで呼吸が浅くなると、疲れが取れにくくなります。朝晩窓を開け換気を行い、できれば睡眠中は空気清浄機で空気をきれいに保ちましょう。
10.「殿様枕症候群」に要注意!」
首の後ろの動脈が避けて脳卒中を起こす「突発性椎骨動脈解離」という病気は、高くて硬い枕を浸かっれいる人ほど起こしやすいことから、俗称として「殿様枕症候群」と呼ばれています。具体的には、枕の高さが12cm以上だと、リスクはそれより低い枕の3倍近くになるそうです。枕選びは慎重に行いましょう。

11.「枕に保冷剤を入れて頭を冷やす」
人間は、眠る時には脳や内臓の温度を下げて身体を休めます。脳の温度を下げるのに役立つのが保冷剤です。カチカチに冷凍したものではなく、冷蔵庫で冷やした保冷剤をハンカチに包んで後頭部に当てると、寝苦しい夜も入眠しやすくなります。
12.「60歳代からは電動ベッドも検討を」
上半身を少し起こすと、気道が確保されて横隔膜が下がり、呼吸しやすくなる上に、腰椎の負担も軽減されます。最近は手軽な価格の商品も増えてきています。寝る前に本を読む人にもお勧めです。体力や筋力が落ちてきたと感じたら、電動ベッドも視野に入れてみましょう。
13.「シャワーで済ませる日は足湯をプラス」
お風呂で体温を上げると、その後体温が下がって休息モードになり、深い睡眠を得やすくなります。夏場、シャワーで済ませる日も、浴槽に熱めのお湯を10cmほど張り、足湯をするのがお勧めです。それも暑いなら、手先をお湯につける「手湯(ハンドバス)」をプラスしてみましょう。
14.「寝る前の1~3分部屋を片付ける」
身体を動かすことで適度な疲労感に繋がり、眠りにつきやすくなります。しかも、部屋がきれいになることで達成感も得られ、自律神経が整うという効果もあります。ただし、やり過ぎると逆に眠れなくなくなるので、1~3分と時間決めて切り上げましょう。
15.「シャンプーのついでに頭皮をマッサージする」
頭皮のコリがほぐれると首や目の疲れがとれ、快眠に繋がります。ですので、シャンプーのとき、頭全体、耳の後ろ、こめかみを指の腹でほぐしましょう。特にお勧めなのは「百会(ひゃくえ)」という頭のてっぺんの少しくぼんだ場所にあるツボです。息を吐きながらやさしく押してみましょう。
16.「布団に入るのは眠くなってから」
「眠れなくても横になっているだけで身体は休まる」は誤解です。眠りが浅いと、つい睡眠時間を増やしたくなりますが、これは逆効果です。長時間布団にいても眠っていなければ、脳と身体の緊張感を高めてしまいます。必要以上に早い就寝は控えましょう。
17.「夜中に目が覚めて眠れない時は布団から出る」
「眠らなけば…」と焦るほど緊張が高まってしまいます。「布団=緊張する場所」と脳に刷り込まれ、ますます睡眠の質が下がることに繋がります。よって、眠れない時はいったん寝床を離れ、温かい飲み物などでリラックスをしましょう。そして、眠気が訪れたら、再び布団に戻るようにされてみて下さい。
18.「夕方眠くなった時は耳を引っ張る」
午後3時までの30分以内の昼寝は、疲労回復などの効果が期待できますが、夕方以降の30分以上のうたた寝は健康を損なうというデータもあります。私たちの耳には100以上のツボがあります。夕方以降に眠くなったら、耳を引っ張ると脳が刺激され、眠気がおさまります。
19.「ペットとはできれば一緒に寝ない」
愛犬愛猫などペットと一緒に寝ると温かいですし、癒し効果は大きいですが、寝返りが妨げられ、眠りの質としては下がります。無意識のうちに行う寝返りは、筋肉をほぐし、血液やリンパの流れを良くしていますので、ペットとは別々に寝るのが推奨されます。また、パートナーと一緒の寝床の場合も同様です。どうしても一緒に寝たい場合は、なるべく広い布団・ベッドにしましょう。
20.「寝る前1分のカンタン指圧・3つのツボ」
「失眠(しつみん)」…足裏のかかと中央部にあるツボ「失眠」は、神経を鎮めて、副交感神経を優位にします。親指や握りこぶし、ゴルフボールなどで刺激をすると効果が高まります。
「安眠(あんみん)」…耳の後ろのとがっている骨から、指1本分下にあるツボ「安眠」は、名前の通り、自律神経を休息モードにして安眠に導いてくれます。親指で押してみましょう。
「血海(けっかい)」…ひざのお皿の内側から指3本分上、大腿内側にあるツボ「血海」は、血の巡りを良くする効果があります。息を吐きながら、親指でゆっくり押しましょう。

当院では、睡眠障害(不眠症)をはじめ、
自律神経失調症、更年期障害、冷え性、心身症、
うつ病、躁うつ病(双極性障害)、不安症、
適応障害、摂食障害(過食症)、パニック症、
月経前症候群(PMS)、PMDD(月経前不快気分障害)、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、
統合失調症、強迫症、過敏性腸症候群(IBS)など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
なお、自律神経失調症の漢方薬による治療をご希望の患者様は、
診察時に医師の方にぜひご相談下さい。当院のような心療内科では、
健康保険適用で処方することも可能です
監修者:
新宿ペリカンこころクリニック
院長 佐々木 裕人
資格等:精神保健指定医、精神科指導医・専門医
所属学会:日本精神神経学会
参考引用文献:『ハルメク 2025年8月号』


