ADHDの方の悩みとしてかなりの割合で存在するのが「第一印象は異様に良い反面、そこから段々と評価が下がっていってしまう」という事柄です。例えば、会社の採用試験においては、面接官に非常に好印象であったADHDの方がいらっしゃられたとします。入社して間もなくは順風満帆だったものの、徐々に仕事のミスが目立つようになり、周囲に「〇〇さんって、意外と仕事ができない人なにかな?」「面白い人なんだけれども、何かが抜けているよね」という目で見られるようになってしまったりすることも、実際に少なくないようです。
ADHDの方は、時に「面接」は非常に得意とされる一面をお持ちです。自己PRにおいても、明るくユーモラスがある上に、発想やアイディアも豊富で、質問への切り替えしにも堂々と回答されるので、高い確率で面接官に気に入られ、一目置かれます。但し、実際に勤務を開始されると、本来の姿(不得意部分もあること)が見えてきますので、「…何だか面接の印象と違うなぁ…」となってきてしまうのです。この現象は、会社勤めの方に特に顕著に表出します。
繰り返しになりますが、ADHDの方は基本的に、社交的で明るくて、周囲から好かれる人が多いと言われています。以前、同ブログにおいて、「思考回路が子どものよう」と記載しましたが、裏表がなく素直な性格であることが多く、いわゆる「愛されキャラ」であることもよくあります。
一方で、最初の印象が良いだけに、付き合いが深くなっていくほど、その最初とのギャップに周囲が戸惑うこともあります。職場ではもちろんプライベートにおいても、「連絡を返さない」「遅刻が多い」等といったネガティブな面を目の当たりにされた時に、「あんなに感じの良い人なのになぁ……」というガッカリ感を一層強く与えてしまうのだと思われます。
周囲からそのように思われた時に、落ち込まれてしまう人もいることでしょう。「思ったよりも仕事が出来ない人だな」と評価されることは、誰にとっても辛いことです。しかし、このように考えることも出来ます。そもそも他人の評価が気になるということは、自分の中でまだまだ努力できる伸びしろがあると感じているからだ、ということです。
根本的な対策法で言えば、同ブログでこれまで紹介してきましたような日々の対策を少しずつ積み重ね、ミスやトラブルを減らし、周囲の信頼を回復していくしかありません。それでも改善できない時には、最終的には、格好つけず「できません」と認めて、そのことを潔く伝えることです。
そういったスタンスでいれば、他人の評価は余り気にならなくなります。つまり、他人の評価が気になるのは、自分はまだ改善できる、巻き返せるとういう希望があるからに他なりません。それならば、その希望を形にすべく、もっともっと工夫をしてみましょう。
そもそもの話になりますが、ADHDであると何かと卑屈になって、「人に迷惑を掛けてしまう」「また評価が下がってしまった」等と、思考が他人軸になりがちです。だからこそ、ある程度は意識的に、自分の思うように生きることも必要だと思っています。何故なら、自分の人生は、どこまでも自分のものであるからです。
頑張れるのなら努力をするべきですし、無理だと思ったら諦めることも必要です。もしかすると、その諦めた先に、新しい発見や出会いがあるかもしれません。自分の人生を生きるということは、「いかに自分が心地よくいられるか」にとことん特化し、それを実現するための選択と行動を積み重ねることなのです。
多くの「他人」と共存をする社会においては、「自分」を中心に生きることは、意外と難しいことです。だからこそ、意識的に、敢えて若干我が儘寄りのポジティブマインドを保つことも、時には大切なことなのかもしれません。
冒頭の悩みに関しても、まず「第一印象が好印象」という時点で、大きなアドバンテージを得ていると考えられます。例え後で評価が落ちようが、これができるだけでも自慢ができるレベルです。その強みを活かしていくにはどうした良いのでしょうか? そこに思考を巡らせることが、自分軸で生きることにも繋がっていくのです。

当院では、
睡眠障害(不眠症)、不安症、うつ病、躁うつ病、適応障害、
強迫症、摂食障害、月経前症候群(PMS)、統合失調症、
過敏性腸症候群、自律神経失調症、心身症、パニック症など、
皆様の抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
当院では、ご希望の患者様に、ウェクスラー成人知能検査(WAIS)を施行することが可能な医療機関となっております。
ご自身の能力の凸凹の可能性が気になられる患者様、とりわけ発達障害(ADHDやASD)の可能性を危惧されている患者様は、御診察の際に、その旨を当院医師にお申し出頂けましたら幸いです。
監修者:
新宿ペリカンこころクリニック
院長 佐々木 裕人
資格等:精神保健指定医、精神科指導医・専門医
所属学会:日本精神神経学会
参考引用文献:やしろあずき著『すごいADHD特性の使い方』


