「寝ぼけながら料理を作っていたらしい…」「朝目が覚めたら、記憶にないけれども、夜中に自分が食べていた形跡がある…」等々、もしこのようなお悩みをお持ちの場合、それは「睡眠関連摂食障害(Sleep Related Eating Disorder:SRED)」かもしれません。
この「睡眠関連摂食障害(以下:SRED)」とは、夜間睡眠から覚醒中に発現する制御不能な反復する摂食・飲水行動で、多くは意識水準低下による健忘を生じます。SREDの患者様の60~80%は女性で、発症は大半が20~30歳代とされており、大学生での有病率は4%程度です。
病歴の聴き取りを行うと、SREDの方は、ほかの睡眠時随伴症(=ねぼけ)の既往のある方が少なくないほか、睡眠薬や抗精神病薬、鎮静系の抗うつ薬の夜間服用が原因になっているケースもあります。また、概日リズム睡眠・覚醒障害が発症要因になっているケースがあることも知られています。
ノンレム睡眠期からの覚醒中に摂食行動を示しますが、その行動に対して覚醒水準に応じて完全健忘、ないし、手がかりがあれば記憶再生可能な部分健忘を生じます。典型的には、入眠1~2時間後が多いですが、夜間後半に生じることもあります。摂食内容としては、炭水化物など高カロリーの食品の摂取が多いですが、食物でないものを摂取することもあります。症状頻度が多いケースでは、熟眠感の欠如、体重増加や高脂血症・糖尿病の悪化を生じやすく、抑うつ的になることもあります。また、意識混濁状態で食物を調理して怪我をすることもあります。
治療としては、原因となっている薬剤があれば、それを中止したり、他の睡眠障害に起因する場合は、その治療を優先するようにしたりします。特定の原因が見当たらないSREDのケースについては、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が少量入眠前に投与することで奏功することもあります。
覚醒時に起こる神経性大食症・むちゃ食い(過食症)とは異なるものですが、これらの神経性大食症(過食症/BN)や神経性食思不振症(拒食症/AN)があると、SREDも生じやすくなるとも言われています。
当院では、睡眠障害(不眠症)をはじめ、
自律神経失調症、うつ病、躁うつ病、不安症、
パニック症、摂食障害(過食症)、適応障害、
月経前症候群(PMS)、統合失調症、強迫性障害、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、
過敏性腸症候群(IBS)、更年期障害、心身症など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
監修者:
新宿ペリカンこころクリニック
院長 佐々木 裕人
資格等:精神保健指定医、精神科指導医・専門医
所属学会:日本精神神経学会
参考引用文献:内山 真編著『睡眠障害の対応とガイドライン』


