疲労と休息に関する身近な疑問について、Q&A形式で紹介します。
疲労感は心身の維持に必須な“生体アラーム”です。しかし、多くの人が疲労状態で日常を送っています。疲労を無視し、自ら心身を酷使する行為を続けてしまうと、身体は確実に蝕まれてしまいます。集中力が低下したり、無気力になったりしていき、うつ病をはじめとした精神疾患のリスクも高まります。
とはいえ、疲労は敵ではありません。以下に紹介するような科学的に裏付けられた休息方法を実践することで、効率的に疲労から回復することが可能です。生体からの重要なメッセージである疲労感をうまく利用して適切な休息を取り、再び、思い切り活動することができるでしょう。そのメリハリこそが充実した生活に結びつくのです。

Q1. 乳酸は疲労の原因ではないのですか?
A1.
乳酸は疲労の原因ではありません。かつて、乳酸は疲労をもたらす物質と想像されていました。筋肉の疲労回復を遅らせ、脳に運ばれると疲労シグナルが出る、と信じ込まれていたのです。ところが、この20年間で乳酸は、疲労原因物質ではないと分かってきました。肉体を使うと筋肉中や血中で増えますが、乳酸がもたらす軽度の酸性化(アシドーシス)は、筋肉活動の促進や保護に寄与していたのです。しかも、乳酸が増えるのは一時的で、その量は疲労の程度と関連しないことも分かっています。さらに、ブドウ糖だけでは間に合わないほど脳が活性化した際には、グリア細胞が乳酸を近隣の神経細胞に渡して、神経細胞のエネルギー源として使われることも明らかになっています。
Q2. 最近流行のリカバリーウェアとは、どんなものですか?
A2.
VENEX(ベネクス)という会社が2009年からリカバリーウェアを手掛けています。床ずれ(褥瘡)に悩む高齢者向けに開発された特殊繊維がもとだと言います。繊維中にプラチナなどの鉱物が練り込まれており、体温(遠赤外線)を吸収して輻射熱として放出したり、静電気を発生させたりすることで、疲労回復に必要な血流増加により休養の質を高めることが示唆されています。VENEXの開発した繊維に関しては、運動選手のトレーニングによる身体的・精神的ストレスに有益な効果をもたらす可能性があるとの研究報告もあります。現在では様々な企業からリカバリーウェアが発売されていますが、その仕組みや効果の裏付けになる科学的根拠は、製品によって大きな差があります。
Q3. どうすれば、疲れ過ぎずに働けますか?
A3.
日中に15~30分程度の仮眠をとることがお勧めです。しかし、眠るのは難しいという人もいることでしょう。そういう人は、たとえ眠れなくても、好きな音楽を聴きながら休んだり、証明を暗めにして静かに過ごしたりすることでも効果があると言います。健康維持だけでなく生産力向上もねらって、勤務時間中に30分程度の仮眠を推奨している会社も出てきています。
Q4. 乗り物の移動だけで疲れるのは、何故ですか?
A4.
電車や自動車、飛行機などの乗り物で移動すると、例えずっと座っていたとしても、大きな疲労を感じることがあります。これには、乗り物のゆれによる疲労が大きく関わっていると言われています。ゆれのある車内では、身体を緊張させてバランスをとります。その筋肉の緊張が疲労に繋がるのです。
また、温熱環境も重要です。暑かったり、寒かったりするだけでも、疲労は促進します。強い光を見たり、大きな音に曝されたりしても、ストレスが増し、疲れます。環境を整え、ストレスを減らすことが、疲れを小さくすることに繋がります。
Q5. 疲れにくくするために、簡単にできることはありますか?
A5.
それは、「朝起きた時に太陽光を浴びること」です。体内時計をリセットすることで自律神経系のバランスを整える効果が期待できるためです。筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)の治療として「約2000ルクスのかなり強い白色の光を浴びる」というものがあるくらいです。逆に、夜は証明を暗めにして過ごし、入眠しやすくすることをお勧めします。睡眠の質が良くなると、確実に疲労低減に繋がります。

当院では、自律神経失調症をはじめ、
うつ病、躁うつ病、不安症、睡眠障害、
パニック症、摂食障害(過食症)、適応障害、
月経前症候群(PMS)、統合失調症、強迫性障害、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、
過敏性腸症候群、更年期障害、心身症など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
なお、自律神経失調症の漢方薬による治療をご希望の患者様は、診察時に医師の方にぜひご相談下さい。当院のような心療内科では、健康保険適用で処方することも可能です。
監修者:
新宿ペリカンこころクリニック
院長 佐々木 裕人
資格等:精神保健指定医、精神科指導医・専門医
所属学会:日本精神神経学会
参考引用文献:『Newton 別冊 体を整える自律神経の取扱説明書 改訂版』


