多くのメンタル不全は、休息期、回復期と段階を踏んで、徐々に治癒していきます。病状に一喜一憂せず、ゆっくり前に進んでいきましょう。
《休息期》「休むことが仕事! 静養に専念しましょう」
診断が出て間もない初期に必要なのは、十分な休息です。三食を規則正しく食べ、夜は早めに寝ることが最優先の至上命題となります。疲れ切って枯渇してしまったエネルギーをじっくり貯めていきましょう。2~3週間で意欲が戻る人もいれば、この休息期」が半年や1年といったように長期に及ぶ人もいます。焦る気持ちには蓋をし、無理に家事や自己学習をしようと頑張ってしまうと、却って回復が遅くなってしまいます。療養こそが、この時期に課された“仕事”なのです。
一人でいると、食事や入浴など、あらゆることが面倒になることもあります。可能であれば、家族やパートナーと一緒に住んだり、様子を見に来てもらえる環境に出来ると安心です。ただ、周囲にメンタルの病気への理解がないと、「いつまでゴロゴロしているの!」と責められたり、「あなたならすぐに復帰できるよ」と励まされたりそいて、却って焦りが強くなってしまうこともあります。周囲にもご自身の病気の特徴について情報共有をし、いまは見守りに徹してもらう必要を理解してもらいましょう。
《回復期➊》「意欲と体力が戻ってくる」
気力が戻り、色うろなことに対して興味が持てるようになってきます。「電車にちゃんと乗れた」「集中して映画を鑑賞できた」…等々、上記の「休息期」にはとても無理だと思われていたようなことも徐々に出来るようになってきます。この時は、小さな目標を設定し、達成感を積み上げていきましょう。
しかし、この時期の身体の状態はまだ不安定です。順調に予定をこなせる日もあれば、疲れ切って動けない日もあります。病状は好調・不調の波を繰り返しながら回復し、最終的には安定をしていきます。生活記録表などをつけ続けていくと、段々と“生活強度”が上がっていることが実感できるはずです(この生活記録表は、主治医や産業医が復職の時期を判断する材料にもなることがあります)。一週間を通して病気を感じずに生活出来るようになるまで、焦らず無理せず、過ごしましょう。
この時期にお勧めなのが、楽しんでできる軽作業を日々の予定に組み込んでみることです。例えば、料理や手芸、プラモデル作り、ガーデニングなど、どんなことでも構いません。手を使う作業は、脳の機能を回復させるリハビリとしても非常に有用です。
≪回復期➋≫「復職に向けての準備スタート」
日常生活に支障を感じずに過ごせるようになってきたら、いよいよ復職に向けての準備を始めます。医師の指導のもと通勤練習を開始したり、自宅でパソコンスキルの復習をしたり、定時労働をできるようにするためのトレーニングやリハビリに取り組みましょう。就労支援プログラムに取り組まれるのもこの時期からになります。
≪復職≫「慣らしワークから定着へ」
仕事への意欲、集中力が戻り、就労トレーニングの修了が見えてきたら、上司や主治医、産業医と相談して、復職のタイミングを見極めます。復職をスムーズに進めるためにも、休職期間中を通じて、会社との繋がりを持ち続けることが求められます。職場の受け入れ準備を整えるためにも、復職の希望時期は早めに会社に相談しましょう。
復職には、休職の発令時と同様に、主治医の診断書と産業医の意見書が必要です。診断書が出たら、会社に生活記録表などと共に提出しましょう。産業医との復職面談を経て、人事部や上司も復職が可能と判断すれば、いよいよ復職が決まります。本格的な復職の前に、2週間から1ヶ月程度の試験出社期間を設ける会社もあります。
復帰直後は、業務内容を軽いものにするなど、急に負担が掛かり過ぎないように配慮されます。また、産業医との定期的な面談で、安定して仕事が出来ているか、体調に異変はないか等を確認します。職場になじみ、本来のパフィーマンスが発揮出来ていると判断されれば、定期面談は終了します。おおよそ1年間、再発をせずに勤務が出来れば、復職は成功したと考えられます。
何のために休職をするのか?
何のために休職をするのか?と問われれば、それは再びその人の本来のパフォーマンスを発揮して働き、仕事もプライベートも含めた人生そのものを充実させるためである、と考えます。
しかし残念ながら、主治医も産業医も、病前のその人の仕事ぶりを実際に見ていたわけではありません。主治医は、日常生活に支障がなければ回復したと見なします。本人の強い意志があれば、復職の診断書を出すことでしょう。産業医は、就労可能なレベルにまで回復しているかをチェックしますが、こちらもまた、病前のその人の状態と照らし合わせて判断できるわけではありません。治療経過や本人との面談から、ある種の“見立て”をしてゴーサインを出すわけです。時として、本人のやる気だけが先行して復職を急いだ結果、復職後に「思っていたような働きができない」「やっぱり自分はダメなんだ」と意気消沈し、再びメンタルダウンしてしまうケースも見られます。
どこまで回復したら、本来の自分の姿だと言えるのか。それを確認するには、自分自身の実感に加え、家族、友人、職場の人など、近しい人の意見を聞くことも重要です。
職場復帰をする自分の姿を想像してみましょう。どのような自分でカムバックしたいですか?
「休職前と同じように、営業としてまた働いていきたい」
「管理職ではなく、リーダーを補佐するような立場でチームに貢献したい」
「ワークライフバランスもとりながら、生産性を上げる働き方をしたい」等々
復帰後の働き方が明確、かつ具体的にイメージ出来れば、今の自分が復職できるタイミングなのか、もう少しリハビリが必要なのか判断しやすくなることでしょう。

当院では、適応障害をはじめ、
うつ病、躁うつ病、睡眠障害(不眠症)、不安症、
心身症、自律神経失調症、強迫症、統合失調症、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、
月経前症候群(PMS)、月経前不快気分障害(PMDD)、
過敏性腸症候群(IBS)、ストレス関連障害など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
監修者:
新宿ペリカンこころクリニック
院長 佐々木 裕人
資格等:精神保健指定医、精神科指導医・専門医
所属学会:日本精神神経学会
参考引用文献:『マンガで分かる休職サバイバル術』


