「眠いのに中々寝付けない」「十分に寝たはずなのに、眠りが浅い気がする」…等々と感じる時は、寝室の環境が邪魔をしているのかもしれません。入眠を妨げず、睡眠の質を高める望ましい寝室の環境は、「暗くして、静かにして、朝まで快適な温度・湿度を保つこと」という3つの条件が欠かせません。
「光」は、入眠を妨げ、睡眠途中の覚醒をもたらす刺激であり、睡眠に悪影響を与えます。但し、真っ暗だと不安になって眠りにくくなることもあります。就寝時の照明は最小限の明るさにするのが良いでしょう。また、起床前後に朝の光を浴びると、体内時計がリセットされ、正常な睡眠リズムを作るのに役立ちます。寝室のカーテンは、夜に外がまぶしい環境でない限り、ある程度光を通すものが適しています。但し、日本の夏は日の出が早く、睡眠時間が確保できないこともあるため、遮光カーテンを使う方が良いこともあります。
「音」も同様に、睡眠を妨げる刺激となります。特に、人の話し声には大きな覚醒作用があります。しかし、何か音が聞こえていた方が眠りやすい人もいるでしょう。特定の音楽やさざ波の音を聞くと眠りやすい人は、その習慣を続けると良いでしょう。ただ、その場合もオフタイマーを活用して、眠りに入った後は静かにするべきです。加えて、起床後はカーテンを開けることが大切です。
暑すぎたり寒すぎたり、湿度が高すぎたりといった環境も睡眠の敵です。日本では、エアコンを切って寝る人が多いようですが、快眠という観点からすれば間違いです。夏でも冬でも、夜の間中エアコンをつけて、快適な温度と湿度を保つのが良いとされています。但し、冷風が直接身体に当たるのは避けましょう。

入眠時に音楽を聴くのはNG?
寝る時にテレビをつけっぱなしにしたり、寝る前に音楽を聴いたりされる人もいることでしょう。しかし、このような行動は、実は睡眠の質を下げている可能性があります。
ある曲のメロディやフレーズが脳内で延々と繰り返される現象を「イヤーワーム」と言います。米国ベイラー大学の研究チームは、寝る前に音楽を聴くとイヤーワームが睡眠中に起きてしまい、睡眠に悪影響を与えるという仮説について検証をしました。平均年齢21歳の男女48人に、頭の中でメロディが流れやすいとされる3曲(ジャーニーの『Don’t Stop Believin’』、カーリー・レイ・ジェプセンの『Call Me Maybe』、テイラー・スウィフトの『Shake It Off』))のどれかを、就寝30分前に聴いてもらいました。但し、人によってボーカルありのバージョンと、なしのバージョンがランダムに振り分けられました。
すると、特にボーカルなしのバージョンを聞いた人において、イヤーワーム現象が起きたと報告されました。また、ボーカルの有無にかかわらずイヤーワームが起きた人は、入眠に掛かる時間が長くなったり、覚醒の回数が多くなったりするなど、睡眠の質が冷夏したことも報告されました。研究チームは、イヤーワーム現象が起きたと報告した人は、睡眠中に聴覚野が活発に活動しており、これが睡眠を妨げたのではないかと推測しています。
他にも、寝ている間にも人は他人の声に強く反応するという研究結果もあります。この研究によれば、睡眠中に知らない人の声を聞くと、「微小覚醒」というごくわずかな覚醒状態になると言います。この研究から考えれば、テレビやラジオをつけっぱなしにして寝るのは良くないと言えます。
理想の入眠法を考える際、自分にとって快適な環境を整えることが重要になります。例えば、基本的には部屋の中を真っ暗にする方が良いですが、少し明るくないと不安だという人もいます。そういう人は、オレンジ色(暖色)で暗めの豆電球をフットライトとしてつけると良いでしょう。

当院では、睡眠障害(不眠症)をはじめ、
うつ病、躁うつ病(双極性障害)、不安症、
自律神経失調症、更年期障害、冷え性、心身症、
月経前症候群(PMS)、PMDD(月経前不快気分障害)、
適応障害、摂食障害(過食症)、パニック症、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、
統合失調症、強迫症、過敏性腸症候群(IBS)など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
監修者:
新宿ペリカンこころクリニック
院長 佐々木 裕人
資格等:精神保健指定医、精神科指導医・専門医
所属学会:日本精神神経学会
参考引用文献:Newton別冊『睡眠のサイエンス』


