病院や工場などの交代制の勤務(シフト勤務)に携わる人は、睡眠の時間帯がひんぱんに変わる環境で働いています。こうしたシフト勤務は、心身に様々な悪影響を与える「交代制勤務睡眠障害(shift work sleep disorder)」の発症に繋がり得ます。
厚生労働省のHP「健康21 アクション支援システム~健康づくりサポートネット~」には、交代制勤務睡眠障害に関して以下のように記載されております(以下、数行抜粋)。
『交代勤務のために睡眠時間帯が頻繁に変化することにより、睡眠をはじめ精神・身体機能の障害がもたらされる症状。
交代勤務のために睡眠時間帯が頻繁に変化させられることによって、睡眠障害をはじめとする種々の精神・身体機能の障害がもたらされることがあり、交代勤務睡眠障害と呼んでいます。
典型的なものでは、夜間の勤務を終えて朝方から睡眠をとる際になかなか寝付けず、寝付いても何回も途中で目が覚めてしまうという症状が認められます。起床後に疲労回復感が乏しく、夜間の勤務時間帯における眠気と注意集中困難および作業能力の低下がみられます。
深部体温リズムやメラトニン・コルチゾールなどのホルモンリズムは夜間勤務に伴う睡眠スケジュールに完全に同調しにくいため、上記の症状は、交代勤務に伴う睡眠・覚醒スケジュールと、他の生体リズムとの間のずれによると考えられています。
治療としては、まとまった期間夜勤が続く場合には、個々の生体リズム間のずれを改善し、夜間勤務時の覚醒レベルを高めるために夜間の高照度光照射を行うことがあります。また夜間勤務中に仮眠をとると作業能率の低下が少ないとも言われています。さらにカーテンなどで日中の遮光に十分注意すれば、日中の睡眠内容を改善させることも可能です。
三交代勤務の場合には、日勤、準夜勤、深夜勤の順にシフトを組むと、生体リズムを同調させやすいことがわかっています』(以上、抜粋記事)
……上述の抜粋記事のように、この病気では、眠れない、仕事中に集中力が低下するといった問題のほか、倦怠感や動悸、抑うつなどの症状が現れます。では、何故シフト勤務によって、心身に不調があらわれてしまうのかを自律神経の面から考えてみましょう。
通常、私たちの身体は、日が昇ると目覚め、夜になると眠くなります。これは、身体に備わっている「体内時計(概日リズム)」によるものです。この体内時計のリズムに合わせて、自律神経も活動しています。例えば、起きている時には交感神経の活動が活発になり、血圧や心拍数が上がります。一方、寝ている時(ノンレム睡眠時)には副交感神経の活動が活発になり、血圧や心拍数は下がります。
シフト勤務で24時~8時の深夜勤務をするとしましょう。この場合、朝から夕方までの勤務(8時~16時)の場合と比べて、体内時計が大きくずれることになります。実際、交代制勤務睡眠障害の人では、自律神経が支配する血圧のリズムが乱れ、夜間に血圧が上がることが報告されています。つまり、睡眠のパターンが変わり、体内時計がずれることで、自律神経のパターンが変化してしまうと言えるでしょう。
では、夜勤をすることで生活リズムが変則的になってしまう場合、どうすればよいのでしょうか?
一言に「夜勤」といっても、常に夜に働く仕事なのか、時々夜勤があるのか、三交代制で日によって異なるのか…等、様々なケースがあります。しかし、いずれであったとしても、夜勤というのは睡眠にとっては大きな問題で、正直に言って、確実に有効な対策というものはありません。特に、三交代制などになるり、生活リズムが不規則になるので、上手く眠るのは本当に難しくなります。
しかし、不眠症などがなければ、正しい睡眠衛生指導により、2~3週間で、睡眠が元に戻ってくることでしょう。それ以上経っても上手く眠れないというようであるならば、本格的な治療が必要になる場合も出てきます。
基本的には昼間の勤務で、月に何回か単発で夜勤が入る、という場合は、夜勤明けの昼間に余り長く眠らないのがコツです。夜勤明けは、ついゆっくり眠りたくなりますが、そこで長時間寝てしまうと体内時計が乱れ、翌日以降に悪影響を与えます。体内時計が乱れないように、夜勤明けは2~3時間の仮眠に留め、夜早めにベッドに入るように心掛けましょう。
当院では、睡眠障害(不眠症)をはじめ、
自律神経失調症、うつ病、躁うつ病、不安症、
パニック症、摂食障害(過食症)、適応障害、
月経前症候群(PMS)、統合失調症、強迫性障害、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、
過敏性腸症候群(IBS)、更年期障害、心身症など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
監修者:
新宿ペリカンこころクリニック
院長 佐々木 裕人
資格等:精神保健指定医、精神科指導医・専門医
所属学会:日本精神神経学会
参考引用文献:


