刺激に対して非常に敏感で、他人の言動に動揺しやすい人のことを「HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)」と言います。心理学者のエイレン・アーロン博士によって提唱された、人が生まれ持った「気質」のことです。
HSPは年齢や性別を問わず、約5人に1人が当てはまるとされ、決して稀ではありません。しかし、裏を返せば、約8割の人がこの気質を持たないため、HSPの人は周りとの差に苦しんだり、合わせようと無理をして、生活の中で「生きづらさ」を感じやすくなってしまう傾向があります。
HSPの人は、ともすると、「内向的」「人見知り」等とネガティブに捉えられてしまうことがあります。他人の何気ない一言が気に掛かり、必要以上に傷つくことも少なくありません。
何とも生きづらいHSPという気質ですが、その繊細さは、周囲の人が気づけない「良いもの」を感じ取れる長所でもあります。豊かな感受性や共感力の持ち主なのです。ですから、自分を否定したり、無理に克服しようと四苦八苦されるのではなく、まずは「繊細さん」な自分を受け入れることが大切です。そして、少しでもラクに過ごすための上手なコツを身につけていきましょう。

HSPの4つの特徴「D.O.E.S(ダズ)」
HSPの提唱者であるアーロン博士に拠ると、HSPには「D.O.E.S(ダズ)」という4つの特性があるとされています。
➊ Depth of processing(物事を深く処理する)
☑ 一を聞いて、十のことを想像して考えられる。
☑ 調べ物を始めると深く掘り下げるため、知識量が多い。
☑ お世辞をすぐに見抜いてしまう。
☑ 物事を始めるまでにあれこれ考え、時間が掛かる。
➋ Overstimulated(過剰に刺激を受け易い)
☑ 人の些細な言葉に傷つき、いつまでも忘れられない。
☑ 人に見られていると緊張して、いつもの実力を発揮出来なくなる。
☑ 人混みや大きな音は苦手。
☑ 友人との時間は楽しいものの、気疲れしやすく帰宅するとどっと疲れる。
❸ Emotional reactivity and high Empathy(感受性が強く、共感性が高い)
☑ 人が怒られていると、自分のことのように感じて傷つく。
☑ 人の仕草や目線に敏感で、何となく感情が読める。
☑ 映画や本などの登場人物に感情移入し、号泣したりする。
☑ 言葉を話せない幼児や動物の気持ちも察することが出来る。
❹ Sensitivity to Subtleties(感覚が鋭く、些細な刺激も察知する)
☑ 肌着のタグやチクチクする素材が気になってしまう。
☑ カフェインや添加物に敏感に反応してしまう。
☑ 電化製品の機械音や時計の秒針音が気になって集中できない。
☑ 強い光や日光のまぶしさ等が苦手。

繊細さんがラクに過ごせるコツ
繰り返しになりますが、HSPは「気質」であって、病気ではありません。鈍感になろうとか、図太くなろうと努力するのではなく、繊細な気質を受け入れ、ありのままの自分で過ごせるコツを身につけましょう。
★コツ①:自分の感情を受け止める
HSPの人は、何か嫌な出来事があると、「自分の何が悪かったのだろう」と自分自身に原因の矛先を向けがちです。ですので、まずは「嫌だった」「辛かった」など、その時の自分の感情を受け止めてあげて下さい。感じたことをそのまま紙に書き出して、感情をアウトプットしてみるのも良いでしょう。
★コツ②:自分の感覚と楽しく付き合う
HSPの人は、「自分の好きなこと」を感じ取る力にも長けています。カフェや公園など、「好き」「心地よい」と自分が思えるお気に入りの場所を見つけて、自分だけの時間を過ごすことを大切にしましょう。
★コツ③:アイテムの力で外からの刺激を予防
近所に出かけただけで疲れてしまうような時は、アイテムを使って物理的に刺激を防ぎましょう。例えば、メガネ、イヤホンやノイズキャンセリング、香水やマスク等です。好きなものを身にまとい、守ってもらうという意識を持たれると良いでしょう。

当院では、適応障害をはじめ、
自律神経失調症、睡眠障害(不眠症)、うつ病、躁うつ病、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、
強迫症、摂食障害、月経前症候群(PMS)、統合失調症、
過敏性腸症候群、不安症、心身症、パニック症など、
皆様の抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
また当院では、診察と一緒に、専門の心理士(臨床心理士・公認心理師)資格を持ったカウンセラーによるカウンセリング(心理療法)も行っております。カウンセリングをご希望される患者様は、診察時に医師にご相談下さい。
監修者:
新宿ペリカンこころクリニック
院長 佐々木 裕人
資格等:精神保健指定医、精神科指導医・専門医
所属学会:日本精神神経学会
参考引用文献:『元気読本 No.255』


