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物忘れにお困りのADHDの患者様へ~対策法~

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物忘れにお困りのADHDの患者様へ~対策法~

ADHDの人の代表的な特徴として、「物忘れが激しい」というものがあります。普通の人であっても「いやいや自分もかなり忘れっぽいけれど…」という方はいると思います。しかし、ADHDの人はそのようなレベルではありません。「5秒前のことを忘れる」表現される当事者様もいらっしゃられます。

 

 

「鶏は三歩歩けば忘れる」という諺がありますが、「考える」の次に「歩き」が入るだけで、簡単に記憶が上書きされてしまうのです。

 

 

例えば、外出前に「今日あれを持っていかなくちゃ…」と思っていても、スマートフォンを触って別のことをした瞬間に忘れてしまいます。上司の方に「あれをやっておいてね」と言われたことは、席についた時にはもう忘れてしまっています。駅まで自転車で行ったことを忘れて歩いて帰ることはしょっちゅうですし、立体駐車場に止めた車はそう簡単には見つかりません。

 

 

では何故こうも忘れっぽいのでしょうか。ADHDの人の脳の記憶系や、ワーキングメモリー(情報を記憶・整理する能力)に課題がある等といったことも指摘されていますが、「常に頭の中で色々なことを考え過ぎているから」という所も外せません。

 

 

それは、例えば道を歩いている時でも「帰ったらメールの返信をしないといけないな」「今日は天気が良いなぁ」「このブロック塀ってブロックを何個使っているんだろう?」「あの鳥、珍しい種類だな。何ていう鳥だろう」「そう言えば、気になっていた本の発売日っていつだっけ?」……等々、思考が留まることなく脳の中を駆け巡っています。そして、最初の「帰ったらメールの返信をしないといけないな」という一番覚えておきたかった重要なことが、頭の隅に追いやられてしまうのです。

 

 

よく言えば、常に頭をフル活用していることの表れですが、悪く言えば“注意力散漫”ということになってしまいます。そのようなADHDの特性が、物忘れの多さに繋がっている側面は否定できません。

 

 

これを改善するには、「忘れないように意識しよう」と努力をするのは一旦諦めることから始まります。自分の力で何とかしようとし続けていると、結局のところ「努力する」→「また出来なかった」を繰り返すことになってしまい、どんどん自己肯定感が下がっていってしまいます。

  

では、どうしたら良いのでしょうか? それは「脳に頼るのは諦めて、機械に頼ってみよう」です。機械は今や、誰でも使える最強の秘書です。

 

聞いたことはありませんか? 経営者が「自分の苦手は秘書に任せて自分は得意に手中する」「自分がクリエイティブになれるのは秘書のお陰」といった言葉をよく口にされていませんか? まさにこれと同義です。社長でなくとも今の時代、誰でも「機械」という秘書を雇えるのです。自分にできないことが分かれば、次は“自分ではない何か”に頼ることができるようになります。役割分担をしましょう。ADHDの人はこれに限ります。

 

 

それでも頑張って全部自分でやろうとしたり、人に頼れなかったりする方もいらっしゃられるかもしれませんが、自分に出来ないことを認めたら気持ちが一気に楽になります。そして「できない。じゃあ次にどうしよう」という段階に進むことが出来るようになるのです。

 

 

まずは、思い切って「できない」ことを認めてみましょう。そうすれば自ずと次の行動も見えてきます。

機械は今や、誰でも雇える最強の秘書です。ADHD問題の多くは「秘書を雇うことで解決する」といっても過言ではありませんので、機械に頼らない手はありませんそして、選び方として肝心なことは、なるべくシンプルなツールで一元化して下さい。アクションは2つまでに絞れるとなお良いです。

 

 

「人は忘れる」ものです。忘れる前提で動きましょう。思い出せればよいのですから、思い出すことに特化させることも大切です。参考までに、ADHDの人にお勧めのツールを以下に紹介しておきます。

  

➊ Googleカレンダー

 

言わずとしれた定番アプリで、ADHDの人にとってこの上なく頼もしいアプリです。予定の時間が近付くとリマインダーで教えてくれますので、予定忘れの防止になりますし、自分のスケジュールを他者と共有できるのも嬉しい機能です。

 

 

そして、予定管理だけでなく、To Do管理も出来ることがお勧めの最たる所です。下手に他のアプリに手を出さなくとも、Googleカレンダーに元々ついているTo Do 機能で一元化できます。

 

 

GoogleカレンダーのTo Do機能も続けられない時は、カレンダーの予定としてTo Doをそのまま打ち込んでしまうのもありです(実はこれが結構お勧めです)。時間など気にせずに、取り敢えず今日の夕方とか明日の昼間とか、とにかく絶対にもう一度見る時間帯に入れます。この時間にやってもやらなくとも構いません。ここで大事なのは「To Doを見ること」だからです。予定とTo Doがごちゃ混ぜになっていても気にしてはいけません。その時間にTo Doが消化できればラッキーという位に思って、どんどん入れます。これもその予定を思いついた瞬間に入れます。「後で打ち込もう」は絶対に忘れます。

 

 

とにかく、「毎日開いて見るアプリにTo Doを打ち込む」ことが大事です。「忘れないことよりも、何度も思い出す」方を重視します。忘れても、見さえすれば思い出せるので、ここだけは死守しましょう。LINEやアップルウォッチなど、日常的に使われているアプリと連携できる点も便利ですので、そういった活用の仕方もお勧めです。

 

 

5分前などにリマインド通知が来れば、目にして思い出す頻度も増えますので、リマインド機能は必ず設定しておきましょう。

  

➋ LINEリマインくんとアレクサ

 

もはやリマインドはADHDの人に欠かせない機能です。そして、LINEの「リマインくん」もお勧めです。チャット形式で予定を入力できる手軽さが、使いやすさのポイントです。あとは、予定をしつこいほど連呼してくれるアレクサもADHDの人にはお勧めです。約束の30分前から5分刻みで怒濤のようにリマインドをしてくれます。

 

  

 

……他にもたくさん便利なツールはありますが、この2つをまずは挙げさせて頂きました。使うまでのハードルが低いことがメリットではありますが、「予定を入力する」「リマインダーを設定する」、当然この手間は省けません。これだけは出来るように習慣化しましょう。

このコラムを読まれまして、気になる点がありました方や、
興味・関心を抱かれた方は、どうぞ当院まで、
お気軽にお問い合わせください。

 

当院では、

大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症を)はじめ、

睡眠障害(不眠症)、不安症、うつ病、躁うつ病、適応障害、

強迫症、摂食障害、月経前症候群(PMS)、統合失調症、

過敏性腸症候群、自律神経失調症、心身症、パニック症など、

皆様の抱えるこころのお悩みに対して、

心身両面からの治療とサポートを行っております。

 

当院では、ご希望の患者様に、ウェクスラー成人知能検査(WAIS)を施行することが可能な医療機関となっております。

 

ご自身の能力の凸凹の可能性が気になられる患者様、とりわけ発達障害(ADHDやASDの可能性を危惧されている患者様は、御診察の際に、その旨を当院医師にお申し出頂けましたら幸いです。

  

監修者:

新宿ペリカンこころクリニック

院長 佐々木 裕人

資格等:精神保健指定医、精神科指導医・専門医

所属学会:日本精神神経学会

  

参考引用文献:やしろあずき著すごいADHD特性の使い方