自律神経失調症と類似の症状が、一定の臓器や器官に集中している身体疾患の場合、自律神経失調症とは別の病名がつけられることがあります。中には、自律神経の乱れが原因ではない場合もあります。しかし、症状がぶりかえして何度も再発する時は、「自律神経失調症の仲間」とよばれる病気が考えられます。
ここでは、よく知られている身体疾患の中で、自律神経失調症の症状のある代表的な病気を紹介しましょう。
まず、「心身症」が挙げられます。これは精神的なストレスなどが原因の身体疾患を総称したもので、特定の病名ではありません。症状として、自律神経が調整している臓器や器官に出やすいという特徴があります。
「胃・十二指腸潰瘍」は、消化器系の病気です。潰瘍とは、粘膜がただれえぐれたりした状態のことです。ピロリ菌という細菌の感染が原因に深く関係していることが知られています。しかし、単にピロリ菌に感染しただけで発症するとは限りません。他の因子が加わっている場合が多く、その代表がストレスです。
「過敏性腸症候群(IBS)」は、精神的な不安や緊張などが原因で、便通異常や腹痛を起こす病気です。日常的にストレスを受けやすい人、ストレス耐性に弱い人に多く見られる傾向があります。主な症状は便通異常で、下痢型、便秘型、その混合型があります。腹痛を伴うことも多く、不安や抑うつ、めまい、頭痛などが伴うこともあります。
「起立性失調症候群」では、急に立ち上がった時の立ちくらみや眩暈が頻繁に起こります。気持ちが悪くなって、失神することもあります。寝起きが悪い、動悸や息切れ、疲れやすい、乗り物に酔いやすいなどの症状を伴うことがあります。
「神経性嘔吐症」もストレスが原因の病気と考えられています。これは、原因が思い当たらないにも関わらず、頻繁に吐き気や嘔吐を繰り返すというものです。転勤や転職、引っ越しといった環境の変化、職場の人間関係や家族関係のトラブルなど強いストレスがきっかけとなる場合が多いとされています。
「過換気症候群」もストレスが原因の病気です。急に呼吸が速くなり、息を吸っても息苦しさが増してパニック状態を引き起こすというものです。「過呼吸症候群」とも呼ばれます。過呼吸は、非常に興奮したり緊張したりした時に起こります。特別な治療は必要なく、ストレスを制御することで発作を抑制できるようになります。思春期から30歳以下の若い女性に比較的多くみられます。
「慢性頭痛」もストレスが原因のものが少なくありません。病気などの原因がないにも関わらず、症状が消えないのが特徴です。寝不足や生活習慣の乱れ、騒音、人混み、不安などによって起こります。慢性頭痛には、脳血管の痙攣による片頭痛、肩や首などの筋肉の緊張による緊張型頭痛のほかに、心の問題による心因性頭痛などがあります。これらの頭痛は、重症化の心配はないものの、痛みが何年も続く場合もあります。いずれも投薬治療が中心ですが、改善されない場合は、頭痛専門外来がある病院でみてもらうとよいでしょう。
「メニエール病」はストレス性のめまいです。30~40歳代の女性に多いのが特徴です。天井がぐるぐるまわるような回転性のめまいが繰り返し起こり、立っていられなくなります。これは、平衡感覚を司る内耳の中のリンパ液が増えることで起こると考えられています。ストレスに加え、疲労や季節の変わり目などによる自律神経系の乱れが発症のきっかけと見られています。治療は、症状に応じた薬物療法が中心です。睡眠や休息を十分にとるなど、生活改善に努めることが大切です。
「更年期障害」では、のぼせ、ほてり、発汗といった自律神経に関連する症状が起こります。閉経前後の40~50歳の時期を更年期と呼び、女性ホルモンの減少によってホルモンバランスが急激に変化することで、様々な心身の不調があらわれます。個人差が大きいですが、日常生活に支障が出る場合を更年期障害と呼びます。主にホットフラッシュと呼ばれるのぼせ、ほてり、発汗の症状が挙げらますが、他にも、倦怠感、動悸、息切れ、めまい、耳鳴り、頭痛、冷え、便秘、かゆみ、肩こりなどの身体症状に加え、抑うつや不安、意欲の低下などの精神症状を伴うこともあります。
その他、自律神経失調症の仲間の病気として、「高血圧症」「不整脈」「円形脱毛症」「慢性じんましん」「慢性疲労症候群」「胆道ジスキネジー」「慢性疼痛」「神経性咳嗽(がいそう)」「多汗症」「口腔異常感症」「神経性頻尿」などが挙げられます。
当院では、自律神経失調症をはじめ、
過敏性腸症候群(IBS)、更年期障害、心身症、
うつ病、躁うつ病、不安症、睡眠障害(不眠症)、
パニック症、摂食障害(過食症)、適応障害、
月経前症候群(PMS)、統合失調症、強迫性障害、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
なお、漢方薬による治療をご希望の患者様は、
診察時に医師の方にぜひご相談下さい。
当院のような心療内科では、健康保険適用で処方することも可能です 。
監修者:
新宿ペリカンこころクリニック
院長 佐々木 裕人
資格等:精神保健指定医、精神科指導医・専門医
所属学会:日本精神神経学会
参考引用文献:『Newton 別冊 体を整える自律神経の取扱説明書 改訂版』


