Ⅰ. 何故いま、「大人の発達障害」なのでしょうか?
「大人の発達障害」という言葉に、皆さまはどのようなことをイメージされるでしょうか? しばしばみられるものとして、「大人になって、発達障害になった?」があります。 しかし実は、発達障害は先天的で、「大人になってから発達障害を発症する」ということはありません。 それでも、なぜここまで「大人の発達障害」という言葉が広まってきたか、それは以下のような理由があると思われます。- ① 30年前頃までは、存在自体がまだ広く認識されていなかった。
- ② 診断のメインはASD(自閉症スペクトラム症)で、ADHD(注意欠如多動性障害)の存在に目を向けられることが少なかった。
- ③ 幼少期に、「重度ではない」場合に診断されず、高等教育(専門学校・短大・大学)を受けるときや社会人になってから、初めてつまづき、「生きづらさ」を覚える。
- ④ 社会構造や仕事の複雑化により、1つのことに特化した専門職でなく、何でもこなせるマルチタスク能力が求められるようになってきた。